宇宙戦艦ヤマトのストーリーを検証  


SPACE BATTLESHIP ヤマト 敵 ガミラス

TBSのライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル ザ・シネマハスラー
12月18日(土)放送で取り上げられました。−−−−−−−>
☆聴いてみる☆

上等な出来とは言えない映画
映画後半,特に監督の演出構図,脚本の出来の悪さが際立つ
監督の手腕は「BALLAD 名もなき恋のうた」と同様低レベルだった。
脚本は「ゴースト もういちど抱きしめたい」同様酷かった。


「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 公式サイト http://yamato-movie.net/   <-リンク切れ
2010年12月01日


主題歌 スティーヴン・タイラー『LOVE LIVES』

悪いけど多くの人を泣かせる批評かも知れないのでご容赦願います。

散々考えた末に,取りあえず40点という点数をつけたいと思います
(前半70点,後半10点)


観る前に思っていたこと
ヤマト世代は怒りそうな設定と言うが,コアなファンほどそのまま(言わば漫画のような元の設定のまま,あるいはめちゃくちゃご都合主義的なストーリー等)実写映画化した場合の問題点は判りすぎているほどわかっていると思う。アニメと実写は異なるのだ。去年の「BALLAD 名もなき恋のうた」とオリジナルアニメの「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」を比較すればわかるが,「BALLAD」はそのままではまずい物をそのまま実写へと持ってきて逆に足してはいけないものを付け足してしまった。「BALLAD 名もなき恋のうた」で人間ドラマ−特に恋愛面の見るに耐えない演出や脚本は山崎監督がヤマトのメガホンを取った時点で不安をおぼえざるを得なかった。当初,この映画は樋口氏に監督の依頼があったようだが“人間ドラマ”ということで山崎氏が監督を務めることになったらしい。“人間ドラマ”が山崎氏というのは当初から疑問だったが,樋口氏の監督も五十歩百歩という印象を持っている。はっきり言って山崎氏はドラマ作りとアクションが下手で樋口氏は実写映画が下手だ。

簡単な感想
私は,前半部はかなりの好印象を持った。このままの感じで最後まで行ってくれるのなら,多少画面がしょぼくてもとやかく文句を言うつもりは無かった。しかし,半ばを過ぎてから現れてくる酷い演出や間延びした演出,絵的なショボさと構図の悪さ,行き当たりばったりの良く練られていない脚本の出来の悪さがなど悪い点ばかり目に付くようになった。人によってはこの理由で作品に対して非常に悪い評価を下す人がいるかもしれない。とにかく後半は
山崎監督は事前の周囲の期待に応える仕事ぶりであった。あまりにも酷い仕事だ。

特徴
オリジナル作品と違って遥かに女性が多く,メインスタッフの一部は女性になっていた。また,一般女性乗組員も爆発で吹き飛ばされていた。
各乗組員の設定が人によっては大きく改変されている。

良いと思った点
物語のプロットや配役キャラクターは良いと思うし脚本とマッチしており好感も持てた。私は巷でよく言われる配役ミスは無いと思う。気のせいかもしれないが,ガミラスとイスカンダルの関係が石津版ノベライズに似ていなくも無い。
山アさんお得意の気持ち悪く物を食うシーンは無かったが,代わりにドロップを口の中でで転がしていた。
今回のガミラスの設定でガミラス側の芝居がばっさりと切られたため,地球側再度のドラマに集中できた為,劇場版ヤマトのようなダイジェスト感は無くなった。
全編にちりばめられている沢山のオリジナル名台詞や演技が嬉しかった。
(波動砲発射のために島が古代に操縦を渡すシーンはニヤリとしてしまった)
声の出演がオリジナルファンには嬉しかった。
宇宙戦士訓練学校からで出て間もない若造の三下が戦闘班長,航海班長などどいう漫画のような設定が改められて良かった。
地下都市の様子は絶望的な状況を良く表している。また,地下都市が沈没艦ヤマトの近くにあるという手っ取り早い設定は好感を持った。
アニメのような超高層ビル,充実したエアーカーチューブ交通機関等の存在する地下都市の絵をそのまま実写で使ったとしたらディストピアの表現には見え難かっただろう。
艦の性能と相反するようなヤマトの艦内も急造戦艦の雰囲気は出ていた。また,艦のサイズが二倍になっても艦載機の搭載数がオリジナルよりかなり少ないのも納得した。
戦闘シーンは割りと良く出来ており,艦載機戦はなかなかの迫力とスピード感があった。
よく言われるヤマトの無敵さは影を潜め,判断力と知力を使った行動も非常に好感が持てた。
これもよく悪い言われるスローの使用は必要最小限であった。
前半の淡々とした話の進め方は良かった。第三艦橋の顛末はオリジナルにも無い出来事で新鮮に映ったし,良い芝居だと思う。
後半の上陸作戦前哨戦での防御陣突破もスリルがあった。

良くないと思った点
波動砲発射のカウントダウンの発声が「5・4・3・2・1・発射!」でなく「5・4・3・2・1・波動砲発射!」であったので身構えるタイミングが合わず体が前のめりになってしまった。
とんちと知恵でカバーしていたとは言え,特にセット撮影で予算の少なさを観ている人に感じさせてしまう残念な作りだった。
ヤマトの主砲の動きに重量感がなさすぎるため安っぽく感じる。
波動砲で敵艦が被弾し爆発したり溶けるように消えて行くシーンが無い。(予算が無かったんだろうなあ)
ヤマトの艦内セットのバリエーションが少ない。(予算が無かったんだろうなあ)
ガミラス上陸作戦で見事に上陸に成功した古代達が敵陣を突破し最終目標に向うのに使った装甲車は・・・・・・・・・・・・荷台に鉄板を張った
トラックだった。溶接のシーンはあれだったのね・・・・。(予算が無かったんだろうなあ)
登場人物やエキストラの数が圧倒的に少ないためものすごいしょぼさを感じた。(予算が無かったんだろうなあ)
敵の描き方が少々あっさりしており,この設定で行くならば,もっと観ている人に嫌悪感を与えるようなインパクトが欲しかった。(予算が無かったんだろうなあ)
古代が軍から離れた理由が回想シーも無しに全て台詞で説明しまった。(予算が無かったんだろうなあ)
物語の時間経過と位置情報が無く,ミッションの進行具合が良くわからない。今回もタイムリミットという物語の推進力があったがはずであるが効果的に使われていなかったと思う。
最大の問題は監督の演出プランと脚本にあると思う。
オリジナル名台詞の使用は両刃の剣だ。台詞はドラマの積み重ねで出るものであり,今回使用した「お前を弟のように・・・」はドラマ的には全く説得力の無い台詞だ。安易に
ヤマト的記号をちりばめているが”ヤマト的でしょ”という作り的の安易さが浮き出てしまっている。
前半良かったのに第三艦橋事件後の雪の部屋での“ブチューシーン”は総統も相当な珍シーンであった。
決戦の前に劇中のヤマトの乗組員達(と映画を観ている私達)に既にわかり切っていると思われることを,今更艦内放送で長々と演説する間延びしたシーンは観ていて辛かった。
また,総員退艦のシーンも思った通り雪のシーンも見てはいられない場面であった。
敵はその間待ってくれているのであろうか。
山崎監督はやはりというか,今回も
人間ドラマの描き方(特に恋愛)は下手であるという欠点が後半部で噴出した感じである。あと,「BALLAD 名もなき恋のうた」でも気になった演出力の無さと構図などの画面の作り方の悪さが出てしまっている。
第三艦橋で勤務してしているシーンの直後に第三艦橋の乗組員を見捨てるシーンが来るとは殆ど
ギャグである。
映画の時間配分も問題があると思う。映画は1:2:1の長さの三幕構成と言われるが,この映画はクライマックスが二つある。
地球に着いてからの芝居が余計な計算になる。最後の戦いの部分が無いと丁度三幕構成になるのだ。この作品を観ていてバランスが悪く感じるのはこのためであろう。いっそのことそのまま地球へ帰ってしまった方が映画としてのバランスは良かったと思う。

評価
言いたい事はたくさんあるがヤマトといういわば大河ドラマを安易に(起承転結にもなっていない)前後編や三部作にするのではなく一本の起承転結のある完結した作品に仕上げた事の意味は大きい。勿論,映画ファンには堂々とお勧めできる作品ではないのは言うまでもない。

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